死亡〜そして転生へ〜

元ネタはほぼ読んでおりませんので期待しないで下さい。







  普通に憧れた普通な人生。
  高校を卒業して音楽の専門学校へ、20歳になりその道では喰って行けないことを早々に自覚し、バイト先であるカラオケ屋の正社員になった。その当時付き合ってた彼女の親から水商売の男は駄目だと付き合いを否定されたことから転職を志すもののズルズルと半年間ニートになった駄目な男だ。

貯金が底をつき、六畳一間の家賃ですら滞納になりそうだったので登録型の派遣会社から当時は珍しいコールセンターのオペレーターを経て現在はその派遣先の正社員として働く34歳。既婚。子無し。

転職とニートのきっかけになった彼女には転職先がきっかけだったようですぐに振られた。派遣社員では将来が不安だったんだろう。そこから奮起して働きまくり東京転勤を条件に派遣先へ転籍、そして正社員になる。

慣れない土地で知り合いもいないもので、ニート時代から細々と続けてきたMMO RPGで知り合った女性と結婚、少しずつだけど普通の人生に近づけてきたかな。そんなことを何故考えていたのかというと、

「あなた、明日持っていくボドゲの準備は終わったの。」

  昼間っから寝てる私の肩を案山子みたいなへの字口な顔で揺らす妻、そしてその後ろで飯はまだかと甘えた声で鳴く猫。
  そう、明日は知人が集まるボードゲーム会があり我が家からもボードゲームを持っていくんだ。紆余曲折あったけどそんな日常を過ごすようになったんだなともの思いにふけっていた訳だ。

「それで、何を遊びたいんだっけ」

妻に質問する。

「ノイシュヴァンシュタイン城」

  やれやれ、またかと思いつつ眠い目を擦りながらボドゲを収納しているクローゼットへ向かう。

「「「危ないーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」」」

混乱。何が起きた。


  妻の叫び声と同時に目の前が真っ暗になる。妻自作のボドゲ棚からノイシュヴァンシュタイン城の箱をを抜き取ろうとしただけなのに。なんだこれ、後頭部が熱い。熱すぎる。

《確認しました。対熱耐性獲得・・・失敗しました。》

  もしかして、ボドゲ棚崩れた?遊んでないボドゲまだまだたくさんあったのに。老後に楽しもうと300個ぐらいあったのに。もっと時間が欲しかった。

《確認しました。時間停止能力獲得・・・失敗しました。》

「あなた、あなた、血が出て・・・」

  そんな尖ったボドゲなかったはずだけどなぁ。あっ、妻が棚を作った後に片付けなかった工具箱かな、ドリルが置いてあったわ。だから使ったらすぐに片付けろといったのに。。

《確認しました。綺麗好き獲得・・・失敗しました。》

  妻よ、俺の代わりにボドゲをちゃんと最後まであそん、、で、、

  あっけなく私は死んだ。なんてことない普通の人生に憧れた。遊びたいボドゲ、まだまだあったのになぁ。

  それが私が最後に考えた最後の言葉だった。



続く かも。